ぼくらの哲学

by lisa shouda

さて、ぼくらが生きていて
引っかかったり、もやっとしたり、悩んだり、
なんだかなー、と口が空に放った想いも

じぶんのお頭で考え考え、
ついにはささやかな答えを見つけたから
哲学者の卵であるような気がしたことがあっても

ほとんどぜんぶ、だいたい、すべてのことは
とっくの昔は大昔に先人たちが思索し、議論にあげ、
哲学の膜に通された

記録にあるここらの文明や
忘れ去られた古の文明の
月明かりのない夜の焚き火の周りで
赤茶けた土埃舞う石畳の街道で
炊事台に片手をついて

名もない、名のある哲学者たちの膜を通ってきた

そのうちの幾らかは言葉になり、
そのうちの幾らかは活字に起こされ、
そのうちの幾らかは
ぼくらの手に届く

ぼくがあと250年生きながらえたとして
250年かかってもささやかに気配すら感じ得ない概念だって

とっくに誰かが考え、
その思索の粒子は大気中に浮遊し
雨粒と、あなたのその呼気にも含まれている

ぼくが考えることなど一片のそのまた一片だって
もう残されていないような気がした

けれどもぼくは考える

1億回、先人たちの膜を通されたろう

それでもぼくは考える

今日のぼくの膜を通ったことはなかったんだ

まだ手の平がふんわりと柔らかだった
あの頃のぼくが一度は膜を通したそのことも、

考え抜かれたぜんぶを、

今日のぼくの哲学の膜を通そう

哲学に参加しよう

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