そりゃな
知ってたさ
何もかも
じぶんが何者かも
ずっと
知ってたんだ
なのに
知らないふりをして
できないふりをして
やりすごしてきた
思い出しそうになったら
いろいろ忘れるために
手当たり次第飲んでさ
きったない煙も肺まで吸い込んで
愚痴ばっかりでさ
勝ちだの負けだの毎シーズン大騒ぎして
やたら金持ちを妬んでさ
あいつは政治家失格だとかおれのが上手くやれるとか言って
クソみたいな口の使い方したよ
スカッとするし
気分いいぜ
信じ込もうとしてたけど
わかるだろ
気分なんていいもんじゃないよ
悪いよ
ぐわっと もやもやする
けど
なんでも続けてりゃ
フツウになるもんでさ
最悪の気分ってやつを味わうまで
放っておいた
ほとほと嫌になってね
観念したよ
そういや観念って言葉
もともとの意味知ってるか
シッダールタの弟子たちが…
まあいい
話を戻そう
おれは観念した
で、認めた。
世界はおれが創ったんだってこと
なんでだってこんな話をきみにしているのかって?
…そうだな
こう伝えるためだろうな
「きみはおれみたく最悪の気分を味わう必要なんかない」
だいいち、
きみの世界に
おれを創って
ベンチを創り
腰掛けさせて
こんな話をさせたのは
きみだろ